若松北海岸の活性化は魅力ある「カフェ文化」から
K-face合同会社
若松を興す

K-face合同会社代表社員 西村 新さん
・社名の「K-face」にはどんな思いを込めたんですか?
西村さん: 北九州市の「K」と顔の「face」を合わせたんですが、北九州市の顔になれるような会社にしたいとの思いから「K-face」にしました。
若松の海には学生の頃からよく来ていて、友達と夏は浜辺でバーベキュー、夜はドライブなど、よく遊んでいました。二十歳過ぎてから名古屋や大阪で仕事をするようになったんですが、「地元がいいなぁ」と思うようになり、県外で仕事をしながら若松で会社をつくり、地元の友人たちと何か出来ないか考えていました。
県外で医療関連のベンチャー企業を立ち上げ、5年間運営にかかわりました。その経験を生かして新たなことをしたいと思い、昨年8月に地元に帰ってきました。その時、「Tomorrow Coast」の方から若松北海岸を一緒に盛り上げないかとの誘いがあり、引き受けることにしました。
現在は、業務の傍ら定期的に岩屋海岸の清掃を行っています。中学、高校時代の友人や先生、地元市議会議員の方々との清掃作業を通じて仲間づくりの輪が広がってきました。
・医療関連ベンチャーでの経験は地元で役立ちそうですか?
西村さん: 医者の救急往診、いわゆる「医者の宅配システム」のようなもので、2019年に名古屋で立ち上げに加わったんですが、コロナ禍になってこのシステムが活かされました。
経営者やドクターを中心に5人で始めた会社ですが、20歳の私が責任者になり、忙しい中でも多くのことを学ぶことができました。
こうした5年間の経験で学んだことを若松北海岸の活性化に役立てたいと思い、その一環として、先ずTomorrow Coastでの業務を中心に若松北海岸の魅力を発信しています。
グランピングの運営やカフェを通じて発信していますが、去年に比べると売上が5~6倍伸びています。その要因は何といってもこの場所の魅力ですね。グランピングの需要が一番高いのは3月と夏場。カフェの需要は春頃から徐々に増えてきました。
やはり大勢の人が訪ねてくれるようにすることが重要ですね。昨年8月から北海岸地域の観光開発が可能になったので観光関連施設の誘致を図り、認知度を高めていかねばと思っています。
・今の北海岸に足りないものは何ですか?
西村さん: ここまでのアクセスですね。地元の人だと自転車でも来れますが、他からだと車がなければ来にくい所です。海岸の眺望が素晴らしい場所ですが、その魅力がなかなか伝わらない。皆さんがここに来てみたいと思うキッカケづくりが大切だと思います。カフェの場合だとテラス以外に店内でゆったり飲食できる建物が必要です。
また、海で遊べるような環境整備の一環として、潮の干満や風の影響などを考慮した海浜遊歩道ができれば、潮騒を聴きながら海岸線の魅力を楽しむ賑わいづくりが演出できると思います。最近、沖縄に行ってきたんですが、沖縄のビーチにも負けない魅力があると感じました。
響灘沖合に建設中の洋上風力発電が稼働するようになれば、社会科見学などの注目スポットになる可能性が高いですから、魅力的なカフェづくりにも取り組みたいです。
・こども食堂にも関わっているそうですね。
西村さん: 名古屋で医療ベンチャーに係わっていた頃に始めたもので、今後、若松でNPOを立ち上げたいと考えています。
こども食堂に必要な食材は各方面に支援協力を呼び掛け、調理施設は自治体が運営している文化センターなども利用できます。またフードバンクなどから食材提供を受けることも可能です。
こども食堂を利用する子供たちは貧困というよりも「孤食」、つまり両親が共働きで学校給食のない土・日、子供たちが一緒に食事を楽しむ「ふれあいの場」としての役割がありますから、来年からでも始めたいですね。
・釜山市ヨンド区視察はどうでしたか?
西村さん: 4月の韓国視察は大変刺激になりました。視察する前はカフェをただ単に飲食店の一つと思ってたんですが、カフェが連なっている様子は、ここにない文化で刺激的でした。若松北海岸の活性化の切札はカフェじゃないかと感じました。
北九州市でも若者が集まる夜営業のカフェが流行っているようです。お酒を飲まない人たちの受け皿になっているような気がします。ここの営業時間は宿泊者もいるので夜10時までですが、需要を考えるともっと延ばしたいですし、まだまだやらなければならないことが沢山あります。
韓国の味や文化、流行を取り入れたり、日本の健康志向のスイーツを取り入れたりしています。またアサイボールを流行らせたいと思い、昨年の年末、折尾駅構内にブースを借りて1か月間販売した様子をSNSで発信したところ、認知度が徐々に高まってわざわざ訪ねて来る人が増えました。
韓国では健康志向のメニューが増え、日本ではおいしさを求める傾向があるようです。こうした韓国や日本の商品をヒントにしながら、Tomorrow Coast発のヒット商品を生み出したいですね。