風薫る頃、高塔山を紫陽花で彩る

~「若松あじさい祭り実行委員会」に集う皆さんの活動 ~
若松あじさい祭り実行委員会 会長
友田 直さん

お知らせ 若松トピックス

「2022年若松あじさい祭りで特別講師をお願いした川原田邦彦氏とともに記念撮影」右端が友田さん

麓の佐藤公園から山頂の高塔山公園まで、毎年、5月末頃から6月にかけて彩り豊かな紫陽花が満開の時期を迎えます。七万四千株を超える多様な品種が咲きほこる高塔山の紫陽花は、多くの市民が長い年月をかけて育んできました。今回は、二十数年にわたり紫陽花の名所づくりに取り組できた市民ボランティアの代表、友田さんにお話しをうかがいました。

紫陽花の栽培に関心を持たれたきっかけはなんですか?

友田さん:紫陽花栽培に興味があったわけでもなく、庭いじりをしたことも無かったんですが、当時の若松区長が高塔山の紫陽花を広めようと呼びかけ、地元の人たちと一緒に手弁当で参加しました。その後、責任者の方が急に亡くなられたため活動を引き継ぐことになりました。

紫陽花は挿し木栽培で、二年くらい経つと花が咲きます。株数を増やすうちに付加価値を高める仕組みづくりに興味が湧いてきました。平成11年(1999)に「あじさい祭り」が始まり、一過性のイベントにしたくない思いで実行委員会の活動に取り組みました。

紫陽花に関わって25年ほど経ちましたが、ここ数年は、山中の沢などで見られる小ぶりで可憐な花姿の山紫陽花の栽培にのめり込んでいます。山紫陽花の栽培は手間がかかりますが、紅色に染まる高塔山を想像しながら、「千紅(せんべに)計画」を進めています。

実行委員会は具体的にどんな活動をしているんですか?

友田さん:毎年開催される「あじさい祭り」を面白くするため次のような活動をしています。

「あじさい里親制度」
地元の小中学生や市民団体に紫陽花の苗を預かってもらい、半年かけて育て、年末に高塔山に植樹する取り組みです。育てることで紫陽花に対する愛着が湧くようで、昨年は若松中央小学校、くきのうみ小学校、深町小学校などが参加してくれました。

「あじさい花不思議(かぶしき)会社株主募集」
参加された方が二鉢を管理し、一年経ったら一鉢を高塔山に植樹してもらい、もう一鉢は自宅で育てます。

「アジの元(もと)さん募集」
家庭で栽培している紫陽花を自ら高塔山に植樹して育てる取り組みです。

「鉢植えあじさいコンクール」
祭り期間中に開催されるコンクールに自分で育てた鉢植えを出品してもらい、優秀作品の紫陽花を挿し木に使って数を増やした後、高塔山に植樹する取り組みです。

<植樹>

<あじさい花不思議会社株主募集(挿し木教室)>

毎年、あじさい祭りに照準を合わせた栽培や管理は大変な作業だと思いますが・・・

友田さん:紫陽花の名所づくりに賛同した人たちが毎週土曜日に集まって花壇の整備や水やりをしたり、苗の提供や植樹会に参加するなど、年間を通じて活動しています。

現在、紫陽花の栽培・管理をしている花壇は、役所が生い茂る樹木を間引き伐採してくれた場所ですが、高塔山は水が少ないため、当初は公会堂近くの元栓から栽培用水を引き込むなど大変でした。しかも「あじさい祭り」は梅雨時に開催するイベントですから、各種の紫陽花の開花時期を調整することが大きな課題でした。

山紫陽花は西洋紫陽花よりも開花が早いため、標高が高く気温の低い皿倉山で山紫陽花の鉢を一時保管してもらい開花を遅らせ、「あじさい祭り」の展示会に開花のタイミングを合わせる工夫をしています。その甲斐あって、祭り当日には山紫陽花と西洋紫陽花を同時に楽しむことができるようになりました。

また、皿倉山の山紫陽花の開花時期が高塔山よりも遅いため、皿倉山の山紫陽花の見頃などもPRしています。まだ規模は小さいですが、皿倉山は紫陽花の栽培に適しているようで、植樹活動が楽しみです。


<栽培活動>

高塔山の紫陽花にはどんな特徴があるんですか?

友田さん:色素をもつ紫陽花は土を酸性にすれば青系に、中性又はアルカリ性にすれば赤系になりますが、高塔山は酸性の強い土壌なので青や白の紫陽花が多いです。そのため赤系の紫陽花を植える場合はアルカリ性の土壌にすることが必要です。また、遠方からきた見学者の方から「ここは山紫陽花のメッカやもんね」と言われたこともあり、もっと広く山紫陽花が観賞できるよう株数を増やしたいですね。

「あじさい祭り」期間中には延べ2万人の人が高塔山を訪れますが、ほとんどが高齢の参加者です。七万四千株超える多様な品種の紫陽花を鑑賞できる高塔山の「あじさい祭り」は全国的にも知られています。

ちなみに、高塔山には私たちの他にも造園業の人たちが紫陽花を栽培している場所もあり、河童地蔵の周辺や公会堂周辺は市が栽培・管理しています。また、高塔山登り口にある佐藤公園には子供たちが栽培して持ってきた紫陽花が植樹されています。

<若松あじさい祭り実行委員会ホームページより>
https://tomoda5.wixsite.com/takatou-ajisai/gallery

※若松あじさい祭り実行委員会の公式ホームページ http://aji1.jpn.org/PC/index.htm